ヒト幹細胞培養液とは?ADSC-CM
ヒト幹細胞培養液とは、ヒト、つまり人間の脂肪細胞から取り出された幹細胞が培養される際に分泌する分泌液のことです。
ヒト幹細胞培養液は「ADSC-CM」と表記され、人間の生体内の環境に類似した「三次元培養システム」を用いて培養されます。
この三次元培養システムとは、通常のフラスコなどの平面状で培養される「二次元培養」に対して行われる培養方法で、二次元培養によるヒト幹細胞培養液が時間経過で劣化しやすいのに対して、ADSC-CMのヒト幹細胞培養液は、長時間経過しても劣化しにくい特徴があります。
ヒト幹細胞培養液には多くの肌の成長因子(グロースファクター)が含まれていると言われています。
ヒト幹細胞培養液は、肌老化(エイジング)からの再生を期待されており、次世代のエイジングケアとも呼ばれています。
ヒト幹細胞培養液に含まれる成長因子(グロースファクター)
ヒト幹細胞培養液(ADSC-CM)に含まれる成長因子(グロースファクター)についてご説明いたします。
ヒト幹細胞培養液(ADSC-CM)には以下の成長因子が含まれていると報告されています。
EGF:上皮成長因子
Epidermal Growth Factor
上皮成長因子(じょうひせいちょういんし)は53アミノ酸残基及び3つの分子内ジスルフィド結合から成る6045 Daのタンパク質のことです。
細胞表面に存在する上皮成長因子受容体 (EGFR) にリガンドとして結合し、細胞の成長と増殖の調節に重要な役割を果たすことが報告されています。上皮増殖因子、上皮細胞成長因子、上皮細胞増殖因子とも呼ばれています。胃酸分泌抑制因子β、ウロガストロンβと同一物質でもあります。
aFGF:組換えヒト繊維芽細胞増殖因子-1
recombinant human Fibroblast Growth Factor 1 (recombinant human acid Fibroblast Growth Factor)
Fibroblast Growth Factor (繊維芽細胞増殖因子)-1とは、aFGFとも呼ばれ、
多くの組織から単離されます。FGF1は、細胞増殖因子として細胞培養に使用されますが、
血管新生因子、神経栄養性因子としての幅広い機能を有し、分化研究などにも利用されています。
bFGF/FGF2:塩基性線維芽細胞増殖因子
basic fibroblast growth factor
bFGFとはFGFファミリーに属する人体に広く分布する強力な血管新生因子(ペプチド)のことで、血管新生(angiogenesis)および動脈形成〔arteriogenesis(小動脈レベルの血管拡張,リモデリング)〕を促進する特色を持っています。神経や骨の形成にも影響がある事が報告されています。
KGF / FGF7:ケラチノサイト成長因子
Keratinocyte Growth Factor
ケラチノサイト成長因子とは、163アミノ酸からなる分子量18,900のタンパク質のことです。
ケラチノサイトや上皮細胞の強力なマイトジェン(分裂促進物質)です。FGFファミリーの一つで、FGF-7とも呼ばれています。
VEGF:血管内皮増殖因子
vascular endothelial growth facter
血管内皮増殖因子(VEGF)は、下垂体foliculo-stellate(星状濾胞)細胞の培養液より単離された血管内皮細胞に特異的に作用する増殖因子のことです。
また、相前後して報告された腫瘍細胞由来の血管透過性亢進因子VPFとVEGFとは、クローニングの結果、全く同一の遺伝子産物であることが判明している。
出典:株式会社LSIメディエンス:血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)
TGF-β:トランスフォーミング増殖因子ベータ
Transforming growth factor
ベータ型変異増殖因子TGF-βは腎臓、骨髄、血小板などほぼすべての細胞で産生され、5種類のサブタイプ(β1~β5)が存在します。
骨基質中にはそのうちβ1~β3がいずれも不活性型として蓄積され、骨吸収の際に破骨細胞が放出する酸によって活性化されることが報告されています。
骨芽細胞の増殖およびコラーゲンのような結合組織の合成・増殖を促進し、上皮細胞の増殖や破骨細胞に対しては抑制的に作用します。
また、TGF-βスーパーファミリーというものもあり、これには生物の骨形成に重要な役割を果たしているBMP(骨形成タンパク質)などが含まれています。
IGF-I:インスリン様成長因子
Insulin-like growth factors
インスリン様成長因子(インスリンようせいちょういんし)とはインスリンと配列が高度に類似したポリペプチドのことです。
細胞培養ではインスリンと同様に有糸分裂誘発などの反応を引き起こすことが報告されています。IGF-2は初期の発生に要求される第一の成長因子であると考えられるのに対し、IGF-1の発現は後の段階で見られる。
PDGF:血小板由来成長因子
Platelet-Derived Growth Factor
血小板由来成長因子(けっしょうばんゆらいせいちょういんし)とは主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走および増殖などの調節に関与する増殖因子のことです。主にPDGF/VEGFファミリーに属します。主に巨核球によって産生されるほか、血小板のα顆粒中にも含まれることが報告されています。
後の研究により、PDGFは上皮細胞や内皮細胞など様々な細胞によって産生されることが分かっている。PDGFにはPDGF-A、B、CおよびDの少なくとも4種類が存在するが、A鎖およびB鎖はジスルフィド結合を形成することによりホモあるいはヘテロ2量体構造をとり3種類のアイソフォーム(PDGF-AA、AB、BB)を有している。PDGFはチロシンキナーゼ関連型であるPDGF受容体(PDGFR)を介してその生理作用を発現することが知られている。
HGF:肝細胞増殖因子
hepatocyte growth factor
肝細胞増殖因子(HGF)とは、肝細胞再生の背景にある細胞増殖因子のことです。
肝細胞の最も強力な増殖因子であることが知られていますが、肝臓以外の、腎臓、脾臓、肺など多くの臓器で産生されており、器官再生促進作用があると報告されています。
ヒト幹細胞培養液の効果
ヒト幹細胞培養液にはどのような効果があるのでしょうか?
ヒト幹細胞培養液がもたらす効果のひとつとして、肌の衰えを抑えて、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンの再生力をパワーアップさせる効果が期待されています。
人間の肌は紫外線や大気汚染などの有害物質が肌の表面に触れる事で、肌の内部では「活性酸素」が大量に発生し、細胞が不活性化すると言われています。
細胞が不活性化する事は、すなわち細胞が「老化」することを意味しています。
また、活性酸素が増えた事で肌の真皮層は傷つき、本来活発であったはずの代謝が鈍くなります。
肌の表皮ではターンオーバーが遅くなることで、肌老化の原因となっているわけです。
ヒト幹細胞培養液(ADSC-CM)に期待される効果とは、活性酸素により傷つき情報伝達物質のやりとりが少なくなってしまった肌細胞に情報伝達物質を与える事で、肌細胞は再度活性化させることです。
肌細胞の代謝が活性化すると、肌内部ではヒアルロン酸やコラーゲン、タンパク質などが新たに生成され、表皮ではターンオーバーのスピードがアップします。
一般的によく言われることですが、理想的な肌は赤ちゃんの肌のようなみずみずしい肌だと言われる事があります。
赤ちゃんの肌の内部では、成長因子(ホルモンなどタンパク質)が次々と生まれています。
その成長因子がレセプターに取り込まれ、新たな指令が出される事でDNAが呼び起こされます。
その結果、細胞が活性化した状態になり、理想的な肌環境となるわけです。
逆に老化した肌の状況とは、活性酸素によって傷ついた肌は情報伝達物質が減少することで、レセプターが指令を出せない状態になっているのです。
レセプターが新たな指令を出せないことで、細胞が活性化しない状態となり、表皮ではターンオーバーの鈍化が原因で、老化が起こりやすくなります。
ヒト幹細胞培養液(ADSC-CM)は、減少した情報伝達物質の役目を果たし、余す事なくレセプターに受け入れられます。
ヒト幹細胞培養液(ADSC-CM)の効果によって肌細胞の代謝は復活し、表皮でもターンオーバーのスピードがアップすることで、肌の若返りに影響を与える事が期待されています。
また、ヒト幹細胞培養液は肌が再生されることで、頭皮の肌の再生にも効果が期待されています。
主にサロンで提供されているヒト幹細胞培養液を含有した「幹細胞コスメ【アクティバート】」というスカルプローションがあります。
ヒト幹細胞培養液は、アンチエイジングの切り札として今後ますます注目されると思います。
ヒト幹細胞培養液のまとめ
- ヒト幹細胞培養液とは人間の脂肪細胞から取り出された幹細胞が培養される際に分泌する分泌液のこと
- ヒト幹細胞培養液には沢山の成長因子が含まれている
- ヒト幹細胞培養液の効果は肌の若返りに期待されている
- ヒト幹細胞培養液を利用したスカルプローションもある
- ヒト幹細胞培養液はエイジングケアの切り札として注目されている