円形脱毛症とは?
円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)とは、頭部に円形や楕円形の脱毛部分、脱毛斑が生じる自己免疫病のひとつです。
円形脱毛症は一般的には、十円玉くらいの大きさだと思われていますが、頭部の全体に広がる脱毛や、眉毛やまつ毛、体毛まで脱毛部分が広がる重度の症状となる場合があります。
円形脱毛症は、一般的なAGA、男性型脱毛症とは原因が異なるため、同じ脱毛症であっても区別される場合が多いです。
また、円形脱毛症は、男性、女性に関わらず、年齢にかんしてもどの年代でも罹患しうることが報告されています。
円形脱毛症は、俗に「十円ハゲ(じゅうえんはげ)」や「台湾ハゲ(たいわんはげ)」と言われることがあります。
円形脱毛症の症例について
円形脱毛症と一言で言っても、その症例にはいくつかのケースに分けられます。
円形脱毛症の症例について比較的よくみられるとされる「単発型」「多発型」「蛇行型」「全頭型」「汎発型」についてご説明いたします。
今回、円形脱毛症の記事を書くにあたって、より正確な情報を記載する為に、株式会社スヴェンソンさんが運営する「円形脱毛症.com」というウェブサイトの情報を参考にさせていただきました。
「円形脱毛症.com」では、皮膚科の医学博士が監修しているウェブサイトで、円形脱毛症の情報としては私が調べた中では最も信頼性の高い情報であると思います。
円形脱毛症の症例:単発型
突然頭髪に円形、または楕円形の脱毛斑が現れるのが単発型の円形脱毛症です。
円形脱毛症の症例としては、最も多くみられるタイプの症例と言われています。
単発型円形脱毛症が発症する年齢は子どもから老人まで幅広い年代で発症し、男女の発症率はほぼ同率と言われています。
単発型の治療に関しては、約80%の人が一年以内に治癒すると言われていますが、まれに「多発型」に移行する人もいるようです。
円形脱毛症の症例:多発型
円形、または楕円形の脱毛斑が二つ以上発生するタイプの円形脱毛症が、多発型の円形脱毛症です。
医療機関などで適切な治療を行っても、完治するまでに半年から2年くらいかかる場合が多いと言われている円形脱毛症です。
多発型の脱毛斑が結合して、脱毛箇所が拡大する場合を「多発融合型」と呼んでいます。
円形脱毛症の症例:蛇行型
脱毛斑の結合が細長く、主に後頭部から後頭部の生え際にそって広がるタイプの脱毛症を蛇行型と呼びます。
蛇行型の円形脱毛症の場合、治療期間が複数年にわたる場合があると言われています。
円形脱毛症の症例:全頭型
脱毛斑が頭部の全体に広がり、最終的にはすべての頭髪が抜け落ちてしまうタイプが「全頭型」です。
全頭型の場合、治療に関しては非常に治りにくい事例が多く報告されている症例でもあります。
また、治療が長期間にわたるケースが多いため、治療時には、かつら、ウィッグなどを使いながら円形脱毛症の治療を行っていく事も必要な対応だと思います。
円形脱毛症の症例:汎発型(ばんぱつがた)
全頭型の円形脱毛症がさらに進行し、頭髪以外の眉毛やまつ毛、体毛など全身の毛が全て抜け落ちてしまうタイプが汎発型です。
円形脱毛症の症例の中では、最も重度なタイプが汎発型と言われています。
汎発型の円形脱毛症も治療期間が長期化する傾向があるため、かつらやウィッグなどを用いて円形脱毛症の治療に取り組んでいく事も必要かと思います。
円形脱毛症の主な原因
円形脱毛症の原因としては、様々な原因が提唱されているのが実情です。
現代の医学では、髪の毛の毛根組織に対して免疫機能の異常が発生するという「自己免疫疾患」を円形脱毛症の原因とする説が有力とされています。
自己免疫疾患、つまり自分の免疫機能が正常に働かない状態が、円形脱毛症の原因であるという説です。
免疫機能に異常が発生する主な原因としては、過度な精神的ストレスや疲労、感染症などがあります。
円形脱毛症の代表的な原因をご紹介いたします。
円形脱毛症の原因:自己免疫疾患
円形脱毛症の原因として、現在最も有力視されているのが「自己免疫疾患」によるケースだと言われています。
自己免疫疾患とは、外部からの侵入物から体を守る為に働くはずの免疫系機能に異常が発生し、自分の体の一部に対して異常物として攻撃を行なう病気のことです。
自己免疫疾患による円形脱毛症は、Tリンパ球が毛根を異物と間違えて攻撃してしまう為に発症すると考えられています。
また円形脱毛症は、甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、重症筋無力症などといった各種自己免疫疾患と併発する場合があると報告されています。
具体的な数字では、甲状腺疾患は約8%、尋常性白斑は約4%の患者が、円形脱毛症を併発していると言われています。
(出典:円形脱毛症.com 円形脱毛症の発症の原因より)
円形脱毛症の原因:アトピー素因
円形脱毛症の原因として、アトピー素因が原因とされる場合があります。
アトピー素因とは、アトピー性疾患を持っている人のことで、アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎のいずれかに分類されます。
円形脱毛症の患者のうち、約40%以上がアトピー素因を持つという報告があり、円形脱毛症とアトピー素因には深い関係があると言われています。
円形脱毛症の原因:精神的ストレス
過度の精神的ストレスや肉体的ストレスによって、円形脱毛症が引き起こされる事が報告されています。
精神的なストレスを受けるとき、人間はそれに対抗するために交感神経が活発に働きます。
交感神経とは、腺(せん)・血管・心臓などの不随意の臓器を支配する自律神経のことです。
要するに自分の意志でコントロールする事ができない、心臓の鼓動が早くなる、体温が上がるなどといった状況を作り出すのが交感神経の働きです。
この交感神経の働きおいて、ストレスが長期間にわたって続くことで、交感神経の働きに異常が発生する事があります。
本来正常に血管を働かせている交感神経が、ストレスによって血管を収縮させ、頭部へ流れる血液の流れを悪化させてしまい、結果として毛根に栄養が届かなくなってしまう事があります。
その結果、脱毛が引き起こされると考えられています。
円形脱毛症の原因:遺伝的要素
AGA、男性型脱毛症でも言われている原因のひとつ、「遺伝的要素」が円形脱毛症の原因となる場合があります。
過去に中国で実施された大規模な調査結果によると、円形脱毛症の患者の約8.4%が、同じ円形脱毛症を発症している家族がいるという事が報告されています。
親等が近いほどその発症率は高く、欧米で実施された同じ調査でも、円形脱毛症の患者の一親等の発症率は、二親等以上の家族の約10倍に及ぶという結果が報告されています。
過去の調査結果より円形脱毛症の原因として、遺伝的要因がある可能性も考えられます。
円形脱毛症の原因:出産後の女性ホルモン値の変化
出産後における女性ホルモンの減少が、円形脱毛症の原因であるという報告もあります。
妊娠中は、女性の体内にある女性ホルモン値は、通常時のおよそ100倍以上に増加していると言われています。
出産する事で、100倍以上だった女性ホルモン値が一気に通常値に戻ってしまう事で、本来発毛促進の作用がある女性ホルモンが逆に脱毛、抜け毛の作用を引き起こしてしまうケースがあります。
これが、一般的によく言われている産後に抜け毛が増える要因とされており、毛周期との関係で出産後3~4か月後に抜け毛が多くなることが報告されています。
それに加えて、先ほども円形脱毛症の要因として出てきた「アトピー素因」を持っている人の場合、さらに抜け毛が加速されやすいというデータも報告されています。
出産後のホルモンバランスの急激な減少以外にも、出産後の育児によるストレスなども産後の抜け毛の原因となる場合があります。
円形脱毛症の治療法について
円形脱毛症の治療に関しては、まず重要な事は個人で判断せずに、専門の医療機関で診察を受け、自分の症例にあった正しい治療法を実施する事です。
このブログ記事もそのひとつですが、インターネット上の情報は、あくまでも情報であり、必ずしも万人に対して効果があるとは限りません。
まずは円形脱毛症を恥ずかしがる事無く、専門の医療機関、皮膚科などに診察を受けに行くことを強くおすすめします。
一般的によく行われている円形脱毛症の治療法は、軽度の単発型の場合は外用ステロイド剤という塗り薬が処方されるケースが多いようです。
治療法に関しては、専門の医師が監修している「円形脱毛症.com」のこちらのページを参照してください。
円形脱毛症についてのまとめ
今回円形脱毛症に悩まれているフォロワーさんがいた事を発端に、円形脱毛症について調査し、記事としてまとめてみました。
現在円形脱毛症が発症している読者の方は、まずは専門の医師のいる医療機関に診察を受けにいきましょう。
個人の判断で、間違った治療法を行うと、最悪の場合症状が悪化する恐れもあります。
- 円形脱毛症には「単発型」「多発型」「蛇行型」「全頭型」「汎発型」など様々な症例がある
- 円形脱毛症は年齢・性別にかかわらず発症する事がある
- 円形脱毛症の原因として「自己免疫疾患」「アトピー素因」「精神的ストレス」「遺伝的要素」「出産後の女性ホルモンの減少」などがある
- 円形脱毛症の治療は専門の医師のいる医療機関で行う