AGAという言葉をテレビやインターネットで見かける機会は増えましたが、「普通の薄毛と何が違うの?」「抜け毛が増えたらAGAなの?」「一度始まると治らないの?」と疑問に感じている方も多いと思います。
AGAとは、いわゆる「男性型脱毛症」のことです。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、男性型脱毛症について「思春期以降に始まり、徐々に進行する脱毛症」と説明されています。前頭部や頭頂部の髪が徐々に細く短くなっていくことが特徴で、放置すると薄毛が進行する傾向があります。
私自身も20代後半から頭頂部の薄毛が気になり始めました。当時はシャンプーを変えたり、生活習慣を気にしたりといろいろ試しましたが、その後、薄毛について本格的に学ぶために毛髪診断士の資格を取得し、現在は実際にAGAのオンライン診療も受けながら情報を発信しています。
この記事では、AGAとはどのような脱毛症なのか、どんな症状から始まるのか、なぜ起こるのか、どのような治療方法があるのかを、日本皮膚科学会の診療ガイドラインや医薬品の公的情報をもとに、初めて調べる方にも分かりやすく解説します。
- AGAとはどのような脱毛症なのか
- AGAで起こりやすい初期症状
- AGAが起こる仕組みと遺伝との関係
- AGAかもしれないときのチェックポイント
- AGAで用いられている主な治療方法
- 薄毛が気になったとき、どこに相談すればよいか
この記事の執筆・編集について
この記事は毛髪診断士の禿吉が執筆・編集しています。毛髪診断士は医師ではないため、診断や治療の判断は行えません。治療や医薬品については医師・薬剤師などの専門家にご相談ください。
AGAとは?男性に多くみられる進行性の脱毛症
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略称で、日本では一般に「男性型脱毛症」と呼ばれています。
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、男性型脱毛症は、毛周期を繰り返すなかで髪の成長期が短くなり、前頭部や頭頂部の毛髪が徐々に細く短くなっていく脱毛症として説明されています。思春期以降に始まり、時間をかけて進行していく点が大きな特徴です。
AGAというと「急に大量の髪が抜ける」というイメージを持つ方もいますが、必ずしもそうではありません。むしろ最初は「昔より髪が細くなった」「生え際の毛が短くなった」「頭頂部が少し透けるようになった」といった変化から気づくことがあります。
また、AGAでは生え際から後退するタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、その両方が進行するタイプなど、薄毛の現れ方にも個人差があります。
AGAの初期症状|「抜ける」だけでなく「細くなる」に注意
AGAの初期段階では、大量の抜け毛が必ず起こるわけではありません。むしろ重要なのは、以前と比べて髪の毛の質や生え方が変化していないかを見ることです。
代表的な変化として、生え際が少しずつ後退する、M字部分の毛が細く短くなる、頭頂部の地肌が以前より見えやすくなる、髪全体のハリやコシが弱くなるといった症状があります。
AGAでは、髪の成長期が短くなることで、本来なら太く長く育つはずの毛髪が十分に成長できないまま抜け、次第に細く短い毛が増えていきます。日本皮膚科学会のガイドラインでも、前頭部や頭頂部の毛髪が軟毛化し、細く短くなっていくことが特徴として示されています。
そのため、「抜け毛が何本あるか」だけでAGAを判断するのは適切ではありません。抜け毛の本数には季節や洗髪頻度などによる変動もあるため、髪の太さや生え際、頭頂部の見え方などを以前の状態と比べて確認することが大切です。
AGAが起こる仕組み|DHTと毛周期の関係
AGAの発症には、男性ホルモンの働きと遺伝的な要因が関係しています。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは、毛包周辺に存在する「5αリダクターゼ」という酵素の作用を受けることで、DHT(ジヒドロテストステロン)という別の男性ホルモンに変換されます。
このDHTが毛包の細胞にあるアンドロゲン受容体に作用すると、毛髪の成長期を短縮する方向のシグナルが生じます。その結果、髪が十分に太く長く育つ前に成長を終えるようになり、徐々に細く短い毛が増えていきます。
AGAで生え際や頭頂部の薄毛が目立ちやすいのは、毛包の男性ホルモンに対する反応性などが部位によって異なることが関係していると考えられています。
AGAは遺伝する?父親や母方の祖父が薄毛ならAGAになるのか
AGAには遺伝的な要因が関係しています。ただし、「父親が薄毛だから必ずAGAになる」「母方の祖父が薄毛ならAGAになる」といった単純な遺伝ではありません。
AGAにはアンドロゲン受容体に関連する遺伝子をはじめ、複数の遺伝的要因が関与すると考えられています。そのため、家族や親族に薄毛の人が多い場合はAGAになりやすい可能性がありますが、家族に薄毛の人がいるだけでAGAと判断することはできません。
逆に、家族に目立った薄毛の人がいなくてもAGAを発症することがあります。遺伝はAGAを考えるうえで重要な要素のひとつですが、それだけで発症の有無を決められるものではありません。
自分はAGA?気になる人のための簡易チェック
AGAの診断は医師が行うものですが、「一度相談した方がいいか」を考える目安として、自分の髪の変化を確認することはできます。
- 以前より生え際が後退したように感じる
- M字部分の毛が細く、短くなってきた
- 頭頂部の地肌が以前より見えやすくなった
- 髪全体のハリやコシが弱くなった
- 細く短い毛が増えた
- 数か月から数年単位で薄毛の範囲が広がっている
- 家族や親族に同じような薄毛の人がいる
- 思春期以降に徐々に薄毛が始まった
これらに当てはまる項目があったとしても、それだけでAGAと断定することはできません。脱毛にはAGA以外の原因もあり、円形脱毛症や休止期脱毛、疾患や薬剤などが関係している場合もあります。
特に、短期間で急激に髪が抜けた、円形に毛が抜けた、頭皮に赤みや痛みがあるなど、AGAの典型的な経過とは異なる変化がある場合は、自己判断せず皮膚科などの医療機関へ相談してください。
AGAは放置するとどうなる?自然に治ることはある?
AGAは進行性の脱毛症です。そのため、何もしなくても自然に以前の毛髪状態へ戻ることを期待するのは難しいと考えられています。
ただし、AGAの進行速度には大きな個人差があります。数年かけてゆっくり進む人もいれば、比較的早く変化を感じる人もいるため、「AGAなら何年後にここまで薄くなる」と一律に予測することはできません。
大切なのは、「薄毛が気になったらすぐ薬を飲まなければならない」と考えることではなく、自分の薄毛がAGAによるものなのか、それ以外の原因なのかを一度確認することです。AGAであれば治療の選択肢がありますし、AGA以外ならその原因に応じた対応が必要になります。
AGAの主な治療方法
AGAには医学的に評価されている治療法があります。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、男性型脱毛症に対してフィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用が推奨度A、自毛植毛が推奨度Bとして評価されています。
| 治療方法 | 概要 | ガイドライン推奨度 |
|---|---|---|
| フィナステリド内服 | DHTの生成に関与する5αリダクターゼを阻害する | A |
| デュタステリド内服 | 5αリダクターゼを阻害しDHTの生成を抑える | A |
| ミノキシジル外用 | 頭皮へ塗布する外用タイプの発毛剤 | A |
| 自毛植毛 | 自分の毛包を薄毛部分へ移植する | B |
フィナステリド
フィナステリドは、5αリダクターゼII型を阻害することでDHTの生成を抑える処方薬です。日本では男性型脱毛症の進行遅延を目的として使用されています。
PMDAの添付文書でも、フィナステリドは「男性における男性型脱毛症の進行遅延」を効能・効果とする医療用医薬品として承認されています。効果の確認には一定期間の継続が必要とされており、服用については医師の診察を受けたうえで判断する必要があります。
デュタステリド
デュタステリドも5αリダクターゼを阻害する処方薬です。フィナステリドとは作用する5αリダクターゼの種類が異なります。日本ではザガーロなどが男性型脱毛症治療薬として使用されています。
ミノキシジル外用薬
ミノキシジル外用薬は、頭皮へ塗布するタイプのAGA治療薬です。日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性型脱毛症に対するミノキシジル外用も推奨度Aとなっています。
国内ではドラッグストアやオンラインなどで購入できる一般用医薬品もあり、複数の商品が販売されています。商品ごとに濃度や使用方法などが異なるため、添付文書を確認して適切に使用することが大切です。
自毛植毛
自毛植毛は、後頭部などから自分の毛包を採取し、薄毛部分へ移植する治療方法です。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、男性型脱毛症に対する自毛植毛は推奨度Bとされています。
薬物療法とは治療方法も費用も大きく異なるため、選択する場合は十分に情報を集め、医療機関で説明を受けることが重要です。
育毛シャンプーや食生活だけでAGAは改善できる?
「薄毛になったらシャンプーを変えればいい」「髪に良いものを食べればAGAを改善できる」と考える方もいますが、シャンプーや食生活だけでAGAそのものを治療できるとはいえません。
シャンプーには頭皮を清潔に保つ役割がありますし、極端な栄養不足を避けてバランスのよい食事をすることは毛髪の健康維持という意味で大切です。しかし、AGAは男性ホルモンの作用や遺伝的要因が関係する脱毛症であり、頭皮を洗浄したり特定の食品を食べたりすることが、標準的なAGA治療の代わりになるわけではありません。
これは「生活習慣は何をしても意味がない」という話ではありません。頭皮や身体の健康を保つことと、AGAそのものを治療することを分けて考えることが重要です。
AGA治療はどこで受けられる?
薄毛がAGAかもしれないと感じた場合、皮膚科やAGA診療を行っている医療機関で相談できます。最近では、スマートフォンなどを使ったオンライン診療に対応する医療機関も増えています。
皮膚科
急激な脱毛、頭皮の炎症、円形の脱毛など、AGA以外の病気も含めて確認してもらいたい場合には皮膚科が選択肢になります。薄毛の原因がはっきりしない場合は、最初から「AGAだ」と決めつけずに診てもらうことも大切です。
AGAクリニック
AGAを中心に診療しているクリニックでは、AGA治療薬の処方や経過観察などを行っています。治療内容や料金は医療機関によって異なるため、治療を開始する前に総額や処方内容を確認しましょう。
オンライン診療
AGAはオンライン診療に対応しているクリニックもあります。通院せず自宅などから医師へ相談できるため、「いきなりAGAクリニックへ行くのは少し抵抗がある」という方にとっては選択肢の一つです。
私自身も、オンラインAGA診療が実際にどのようなものなのか確かめるためにレバクリを受診しました。予約から問診、医師との診察、処方、薬が届くまでを実際に体験しています。
実際のオンライン診療の流れを確認したい方へ
ハゲている毛髪診断士がレバクリのAGAオンライン診療を実際に受けてみた
AGA治療は保険適用になる?
AGA治療は、一般的に健康保険が適用されない自由診療です。そのため、診察料や薬代などは原則として全額自己負担になります。
費用は治療方法や医療機関によって異なり、フィナステリドなどで進行を抑える治療と、ミノキシジルなどを組み合わせる治療、自毛植毛では費用が大きく変わります。
「AGA治療は高額」というイメージを持つ方もいますが、必要な治療内容は薄毛の状態によって異なります。広告だけを見て高額なプランを選ぶのではなく、自分に何が必要なのかを医師に確認することが大切です。
AGAが気になったら、いつ相談すればいい?
「まだそこまでハゲていないから相談するほどではない」と考える方も多いと思います。しかし、AGAはある日突然髪がなくなる脱毛症ではなく、徐々に髪が細く短くなりながら進行する傾向があります。
そのため、「昔より生え際が後退した」「頭頂部が透ける」「髪が細くなった」といった変化が数か月以上続いているのであれば、一度相談してみてもよいタイミングです。
相談したからといって必ず治療を始めなければならないわけではありません。まず薄毛の原因を確認し、治療するかどうかは説明を聞いたうえで決めればよいと私は考えています。
毛髪診断士の私がAGAについて伝えたいこと
私は20代後半から頭頂部の薄毛が気になり始めました。当時は「シャンプーを変えれば何とかなるのでは」「生活習慣を整えれば元に戻るのでは」と考えていましたが、薄毛について勉強するうちに、AGAであれば頭皮ケアだけで考えるのではなく、AGAという脱毛症そのものを理解することが大切だと分かりました。
その後、毛髪診断士の資格を取得し、AGA治療について調べるだけでなく、実際にオンラインAGA診療も受けました。今だから思うのは、薄毛が気になり始めた段階で一番大切なのは、「高い治療を始めること」でも「育毛商品を片っ端から試すこと」でもありません。
まず、自分の薄毛の原因を知ることです。
AGAなのか、それ以外の原因なのか。それが分かれば、治療をする、経過を見る、別の医療機関を受診するといった次の選択肢を考えられます。
AGAについてよくある質問
AGAは何歳から始まりますか?
AGAは思春期以降に始まる可能性があります。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、男性型脱毛症は「思春期以降に始まり徐々に進行する脱毛症」とされています。
20代でもAGAになりますか?
はい。AGAは中高年だけの脱毛症ではありません。20代から生え際や頭頂部の変化を感じる方もいます。
AGAは遺伝しますか?
遺伝的要因はAGAの発症に関係します。ただし、「父親が薄毛だから必ずAGAになる」「母方の祖父が薄毛ならAGAになる」といった単純なものではなく、複数の遺伝的要因などが関係すると考えられています。
AGAは自然に治りますか?
AGAは進行性の脱毛症であり、自然に元の状態へ戻ることを期待して放置するのはおすすめできません。ただし、進行速度には個人差があります。
AGAはシャンプーで治りますか?
シャンプーは頭皮を清潔に保つためには重要ですが、AGAそのものに対する標準的な治療方法ではありません。頭皮環境を整えることと、AGAを治療することは分けて考える必要があります。
AGA治療は一生続ける必要がありますか?
治療の継続期間は治療方法や希望、経過によって異なります。AGA治療薬には継続使用によって効果を維持するものがあるため、自己判断で開始・中止せず、医師と相談しながら決めることが重要です。
まとめ|AGAが気になったら、まず原因を確認することから
AGAは、男性ホルモンの作用や遺伝的要因が関係し、思春期以降に徐々に進行する男性型脱毛症です。生え際や頭頂部が薄くなるだけでなく、髪が以前より細く短くなったり、ハリやコシが弱くなったりすることも初期の変化としてみられます。
AGAには、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用など医学的に評価されている治療方法があります。一方で、薄毛の原因はAGAだけではありません。
「最近、髪が細くなってきた」「生え際や頭頂部が以前と違う」と感じているのであれば、自己判断で高額な商品を購入する前に、一度医師へ相談して原因を確認することが選択肢になります。
AGAオンライン診療は実際どんな感じ?
私自身がレバクリを受診し、予約・問診・医師との診察・処方まで実際に体験しています。
参考文献・参考情報
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「フィナステリド製剤 添付文書」
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「デュタステリド製剤 添付文書」
執筆・編集:禿吉(毛髪診断士)
自身も薄毛に悩んだ経験から毛髪について学び、毛髪診断士の資格を取得。AGA・薄毛について、公的資料や医薬品情報を確認しながら、実体験を交えて情報を発信しています。



