「頭皮がベタつくのにフケも出る」「赤みやかゆみがあって、最近抜け毛も増えた気がする」「これはAGAなのか、それとも脂漏性皮膚炎なのか?」と不安になっている方も多いと思います。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位に起こりやすい皮膚炎で、頭皮にもみられます。マラセチア属真菌などが増悪に関与すると考えられていますが、単純に「皮脂が多いから起こる」「不潔だからなる」という病気ではありません。
この記事では、毛髪診断士の禿吉が、脂漏性皮膚炎の症状、抜け毛との関係、AGAとの違い、治療、シャンプーの考え方、皮膚科を受診した方がよいケースまでわかりやすく整理します。
この記事について
この記事は毛髪診断士の禿吉が執筆・編集しています。毛髪診断士は医師ではないため、脂漏性皮膚炎や脱毛症の診断・治療は行えません。頭皮の赤み、強いかゆみ、湿疹、急な脱毛などがある場合は、皮膚科などの医療機関へご相談ください。
脂漏性皮膚炎とは?
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位に生じやすい皮膚炎です。頭皮のほかにも、眉間、鼻の周囲、耳の周囲などに症状が出ることがあります。
頭皮では、フケ、赤み、かゆみ、ベタつき、皮膚の剥がれなどがみられることがあります。ただし、「フケが出る=脂漏性皮膚炎」ではありません。
似た症状を起こすことがある頭皮トラブル
- 頭皮の乾燥
- 接触皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 乾癬
- 頭部白癬
- その他の皮膚疾患
症状が長く続く場合や赤み・かゆみが強い場合は、シャンプーだけを変え続けるのではなく、皮膚科で状態を確認することが大切です。
脂漏性皮膚炎で抜け毛は増える?
脂漏性皮膚炎があると、頭皮の炎症やかゆみ、掻破などによって抜け毛が目につくことがあります。強いかゆみで頭皮を繰り返し掻くと、毛髪や頭皮へ物理的な負担がかかることもあります。
ただし、脂漏性皮膚炎があるから、そのままAGAになるという意味ではありません。脂漏性皮膚炎とAGAは別の病気です。
頭皮の炎症が落ち着くことで抜け毛が目立ちにくくなる場合もありますが、生え際の後退や頭頂部の薄毛、細く短い髪の増加などが同時にみられる場合は、AGAなど別の脱毛症が併存している可能性もあります。
脂漏性皮膚炎とAGAの違い
脂漏性皮膚炎とAGAは、どちらも「頭皮」「抜け毛」「薄毛」と関連して検索されやすいですが、発症の仕組みは異なります。
| 比較項目 | 脂漏性皮膚炎 | AGA |
|---|---|---|
| 主な状態 | 頭皮などの炎症 | 進行性の脱毛症 |
| 主な症状 | フケ・赤み・かゆみ・ベタつき | 生え際・頭頂部の薄毛、髪の細毛化 |
| 主な仕組み | 皮脂、マラセチア、皮膚環境などが関与 | DHTや遺伝的要因などが関与 |
| 治療の考え方 | 炎症や真菌への対応 | AGAの進行抑制・発毛促進 |
簡単に整理すると、脂漏性皮膚炎は頭皮の炎症が中心、AGAは毛包のミニチュア化による進行性の薄毛です。
ただし、両方が同時に存在することもあります。
脂漏性皮膚炎の主な症状
頭皮に脂漏性皮膚炎が起こると、次のような症状がみられることがあります。
- フケが増える
- 頭皮が赤くなる
- かゆみが出る
- 頭皮がベタつく
- 皮膚が剥がれる
- 炎症が続く
- ヒリヒリした刺激感がある
症状の程度には個人差があり、良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。
脂漏性皮膚炎はなぜ起こる?
脂漏性皮膚炎の発症を1つの原因だけで説明することはできません。皮脂、マラセチア属真菌、皮膚のバリア機能、個人の体質、環境要因など、複数の要素が関係すると考えられています。
特にマラセチア属真菌は、脂漏性皮膚炎の増悪に関与する因子の一つとして考えられています。
ただし、マラセチアが皮膚に存在する=脂漏性皮膚炎という意味ではありません。
マラセチアは健康な人の皮膚にも存在する常在菌の一つです。
皮脂が多い人は必ず脂漏性皮膚炎になる?
いいえ。脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位に起こりやすいですが、皮脂量だけで発症が決まるわけではありません。
「脂漏性」という名前から、皮脂が多い=原因、皮脂を全部落とせば治ると思いやすいですが、これは単純化しすぎです。
むしろ、皮脂を落とそうとして1日に何度もシャンプーしたり、強くこすったりすると、頭皮への刺激が増えて症状が悪化することがあります。
マラセチアとは?
マラセチアは、皮膚に存在する酵母様真菌の一種です。皮脂を利用して増殖する性質があり、皮脂の多い部位との関係が深いとされています。
脂漏性皮膚炎ではマラセチア属真菌が増悪因子の一つとして考えられていますが、「マラセチアによる感染症」と単純に捉える病気ではありません。
皮脂、皮膚環境、免疫反応、体質などが複合的に関係すると考えられています。
脂漏性皮膚炎はシャンプーだけで治る?
症状が軽い場合には、頭皮を清潔に保ち、刺激の少ないシャンプーを使うことが症状管理に役立つ場合があります。
ただし、シャンプーだけで脂漏性皮膚炎を必ず治療できるわけではありません。
赤みやかゆみ、炎症が続く場合は、医療機関での治療が必要になることがあります。長期間にわたって市販シャンプーを次々に試しても改善しない場合は、一度皮膚科で状態を確認した方がよいでしょう。
脂漏性皮膚炎ではどんな治療が行われる?
脂漏性皮膚炎の治療は、症状の程度や部位、皮膚の状態に応じて医師が判断します。
治療では、抗真菌薬や炎症を抑える外用薬などが用いられることがあります。
主な治療の考え方
- マラセチアなどへの対応として抗真菌薬を使用する場合がある
- 炎症が強い場合に抗炎症薬を使用する場合がある
- 頭皮を刺激しすぎない洗髪方法を意識する
すべての人に同じ治療を行うわけではないため、自己判断で薬を選ぶのではなく、医師の診断に基づいて治療を受けてください。
ケトコナゾールとは?
ケトコナゾールは抗真菌薬で、真菌に作用することで治療に用いられます。日本では外用ケトコナゾール製剤に脂漏性皮膚炎の適応があります。
ただし、ケトコナゾールを使えばすべてのフケや頭皮トラブルが治るという意味ではありません。
頭皮の赤みやフケには、脂漏性皮膚炎以外の原因もあるため、症状が続く場合は皮膚科で原因を確認することが大切です。
ステロイドは頭皮に使って大丈夫?
脂漏性皮膚炎では、炎症が強い場合に医師の判断でステロイド外用薬が使用されることがあります。
ステロイドという言葉に不安を感じる人もいますが、医師が頭皮の状態や症状の強さに合わせて薬の種類や使用期間を判断します。
一方で、自己判断で長期間使い続けることはおすすめできません。処方された場合は、使用量や使用期間について医師の指示に従ってください。
薬用シャンプーは使った方がいい?
フケや脂っぽさが気になると、薬用シャンプーや抗真菌成分を含む製品を試したくなるかもしれません。頭皮状態によっては、こうした製品が役立つ場合もあります。
ただし、シャンプーは医療機関で行う治療の代わりになるとは限りません。
赤みや強いかゆみがある、症状が繰り返す、長期間続いているといった場合は、シャンプー選びだけで解決しようとせず皮膚科へ相談してください。
シャンプーのしすぎは逆効果?
頭皮がベタつくと、「皮脂をできるだけ落とした方がいい」と考えやすいですが、過度な洗浄や摩擦は頭皮への刺激になります。
避けたい洗髪方法
- 1日に何度も洗う
- 爪を立てて強くこする
- 洗浄力の強い製品を何種類も使う
- 熱すぎるお湯で洗う
シャンプーでは、皮脂を完全になくすことよりも、頭皮へ負担をかけず清潔を保つことを意識しましょう。
頭皮を掻くと抜け毛が増える?
かゆみが強いと、無意識に頭皮を掻いてしまうことがあります。しかし、繰り返し強く掻くと、頭皮を傷つけたり炎症を悪化させたりする可能性があります。
また、髪を物理的に引っ張ることにもなるため、抜け毛が目につきやすくなる場合があります。
かゆみが強い場合は、我慢して掻かないようにするだけではなく、かゆみや炎症の原因を治療することが大切です。
脂漏性皮膚炎が治れば抜け毛も治る?
頭皮の炎症や掻破などが抜け毛に関係している場合、炎症が改善することで抜け毛が目立ちにくくなることはあります。
ただし、脂漏性皮膚炎が改善しても、生え際の後退、頭頂部の薄毛、細く短い髪の増加などが続く場合は、AGAなど別の原因を考える必要があります。
脂漏性皮膚炎が治れば、すべての薄毛も治るわけではありません。
AGAと脂漏性皮膚炎が同時に起こることはある?
はい。脂漏性皮膚炎とAGAは別の病気なので、同じ人に両方が存在することがあります。
たとえば、頭皮に赤み・フケ・かゆみがある一方で、生え際や頭頂部の髪が徐々に細くなっている場合です。
この場合は、脂漏性皮膚炎に対する治療とAGAに対する治療を分けて考える必要があります。
フィナステリドを飲めば脂漏性皮膚炎も治る?
いいえ。フィナステリドは、AGAの進行に関係するDHTの生成を抑える目的で使用される薬です。
脂漏性皮膚炎を治療する薬ではありません。
AGAと脂漏性皮膚炎が同時にある場合には、それぞれに適した治療を考える必要があります。
ミノキシジルは脂漏性皮膚炎があっても使える?
外用ミノキシジルはAGA治療に使用される発毛剤ですが、頭皮に炎症、傷、強い赤みなどがある場合には注意が必要です。
脂漏性皮膚炎で頭皮が荒れている状態では、外用剤が刺激になる場合もあります。そのため、炎症がある頭皮へ自己判断で外用ミノキシジルを追加するのは避け、医師や薬剤師へ相談してください。
フケがあるだけなら脂漏性皮膚炎?
フケがあるだけで脂漏性皮膚炎と判断することはできません。
フケには、頭皮の乾燥、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、頭部白癬など、さまざまな原因があります。
特に「フケ+赤み+かゆみ」が続く場合は、自己判断せず皮膚科へ相談することをおすすめします。
食事を変えれば脂漏性皮膚炎は治る?
食生活を整えることは、全身の健康を保つうえでは大切です。
ただし、脂っこい食事をやめれば脂漏性皮膚炎が治る、特定の食べ物を食べれば治るといった単純な病気ではありません。
食事だけで治そうとするのではなく、頭皮に炎症がある場合は適切な診断と治療を受けることが大切です。
皮膚科へ行った方がいい症状
頭皮のフケやかゆみは珍しい症状ではありませんが、次のような場合は皮膚科へ相談することをおすすめします。
- 赤みが強い
- かゆみが続く
- フケが大量に出る
- 頭皮がただれている
- 痛みがある
- 膿や浸出液が出ている
- 抜け毛が急に増えた
- 市販シャンプーを変えても改善しない
- 症状を何度も繰り返している
- 顔や耳の周囲にも同じような症状がある
特に抜け毛まで気になっている場合は、頭皮の炎症によるものなのか、AGAなど別の脱毛症があるのかを確認する意味でも受診する価値があります。
脂漏性皮膚炎についてよくある質問
脂漏性皮膚炎でハゲますか?
脂漏性皮膚炎による炎症や掻破などによって抜け毛が目につくことはありますが、脂漏性皮膚炎とAGAは別の病気です。長期的な薄毛が続いている場合は、AGAなど他の原因も確認する必要があります。
脂漏性皮膚炎はうつりますか?
脂漏性皮膚炎は、人から人へうつる感染症として扱う病気ではありません。マラセチアは健康な人の皮膚にも存在します。
毎日シャンプーした方がいい?
洗髪頻度は頭皮状態や生活環境によって異なります。大切なのは、皮脂を落とそうとして過度に洗浄したり、頭皮を強くこすったりしないことです。
フケが黄色いと脂漏性皮膚炎ですか?
脂っぽいフケがみられることはありますが、フケの色だけで脂漏性皮膚炎を確定することはできません。赤みやかゆみ、皮膚の状態なども含めて医師が判断します。
市販の抗真菌シャンプーだけで治りますか?
頭皮状態によって役立つ場合はありますが、症状が強い場合や長く続く場合には医療機関での治療が必要になることがあります。
脂漏性皮膚炎とAGAは同時に治療できますか?
両方が存在する場合は、それぞれの状態に応じて治療が検討されます。自己判断で治療薬を組み合わせるのではなく、医師へ相談してください。
まとめ|脂漏性皮膚炎とAGAは分けて考える
脂漏性皮膚炎は、頭皮など皮脂の多い部位に起こりやすい皮膚炎です。頭皮では、フケ、赤み、かゆみ、ベタつき、皮膚の剥がれなどがみられることがあります。
マラセチア属真菌などが増悪に関係すると考えられていますが、単純に「皮脂が多いから起こる」「不潔だから起こる」という病気ではありません。
- 脂漏性皮膚炎は頭皮の炎症が中心
- AGAは進行性の脱毛症
- 両方が同時に存在することもある
- フケだけでは脂漏性皮膚炎と判断できない
- シャンプーだけで必ず治るわけではない
- 症状によって抗真菌薬や抗炎症薬が使われることがある
- 赤み・かゆみ・抜け毛が続く場合は皮膚科へ相談する
脂漏性皮膚炎とAGAは別の病気なので、頭皮の炎症が改善しても薄毛が続く場合には、別の原因を確認する必要があります。
頭皮の症状が続いている場合は、シャンプーだけで何とかしようとせず、皮膚科へ相談してください。
参考情報
※脂漏性皮膚炎の診断や治療内容は、症状や頭皮状態によって異なります。医薬品の適応・添付文書・安全性情報は更新される場合があるため、実際の治療については医師・薬剤師および最新の公式情報をご確認ください。



