デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とは?
デヒドロエピアンドロステロン(Dehydroepiandrosterone)とは、副腎や性腺でコレステロールから作り出される天然のステロイド系ホルモンの一種で略称は「DHEA」で表されます。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、「ホルモンの母」と呼ばれており、テストステロンやプロゲステロン、エストロゲン等の性ホルモンをはじめとした50種類以上のホルモンの前駆体でもあります。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、一般的には「若返りホルモン」とも呼ばれており、体内において炎症を抑えたり、インスリンの働きを助けて糖尿病の予防の働きを持つホルモンです。
その他には、動脈硬化や脂質異常症を改善するなどの働きも報告されています。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、男性ホルモンなら「テストステロン」、女性ホルモンなら「エストロゲン」を作る材料となります。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の生成は、人間であれば胎児のころから始まり、一旦生成は止まりますが、6歳頃から再び生成され、25~30歳の間でDHEAの生成はピークに達します。
40歳頃から徐々にDHEAの生成は低下し60~70歳ではピーク時の80~90%まで低下する事が報告されています。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は加齢によって減少する事から、加齢によって起こりうる身体的な疾患や症状などと因果関係があるのではないかと現在も研究されているところです。
次に、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)について、報告されている主な働きについてご説明いたします。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の役割について
デヒドロエピアンドロステロンの主な役割として報告されているものには、以下のような役割があるといわれています。
今回の記事を書くのに参考にした情報は、OMRONさんのホームページのコンテンツ「健康コラム・レシピ」の「若返りホルモンとも呼ばれるDHEAの秘密」を参考にさせていただきました。
免疫力を高め、炎症を抑えたり腫瘍を予防する
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の働きとしては免疫力を高める働きがあるといわれています。
癌患者やエイズ患者等の血中DHEAレベルは、健常者よりもはるかに少ないことが報告されています。
DHEAの働きにより、免疫力が高まり、その結果として炎症や腫瘍の予防につながる事が報告されています。
インスリンの働きを助け、糖尿病を予防する
加齢によるメタボリックシンドロームなどはテストステロンの減少によって生じる事が報告されています。
DHEAは、インスリンの働きを助ける事で、血糖値をコントロールして、糖尿病の予防に効果があるといわれています。
筋力を維持し、代謝を高めて体脂肪を減らす
いわゆるダイエット効果が期待できるといわれています。
ただし、DHEA自体は、過剰摂取する事で副作用がある事も報告されています。
また、海外ではDHEAのサプリメントは販売されていますが、日本国内ではサプリメントとしては販売されていません。
動脈硬化を予防する
人間の血液は、血液中に余分な脂質が多くなると、「血液がドロドロの状態」となり、動脈硬化を起こしやすくなると言われています。
動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中といった命に係わる病気を引き起こすリスクが高まります。
DHEAには、動脈硬化を予防する働きが報告されています。
脂質異常症を予防する
脂質異常症とは、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質が、一定の基準よりも多い状態のことです。
過去には、高脂血症ともいわれており、肥満につながる原因となっていましたが、DHEAによって脂質異常症を予防する働きが報告されています。
ストレスを緩和し、意欲を向上させる
鬱などの精神的な不安定さを改善させる効果が報告されています。
DHEAは「抗ストレスホルモン」とも呼ばれています。
骨粗鬆症の予防と改善
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨の強度が低下し骨折しやすくなる病気のことです。
骨粗鬆症の主な原因の中に、ステロイドホルモンが出すぎる病気「クッシング症候群」があります。
DHEAは、老化防止のホルモンともいわれ、骨粗鬆症に対抗する働き「抗骨粗鬆症作用」が報告されています。
不妊症を改善する
DHEAには卵巣機能が低下した不妊患者の治療成績を改善させる効果が報告されています。
一般的に45~55歳の10年間を「更年期」といいますが、女性の場合、年齢を重ねるごとに卵巣の機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少する傾向があります。
その結果としてホルモンバランスが崩れる事により体調不良となる「更年期障害」に対してもDHEAは改善効果があると報告されています。
性的欲求を高める
DHEAの働きとして、ED(勃起不全)に対する改善効果が報告されています。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は長寿ホルモン?
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は「若返りホルモン」と呼ばれ、美容業界でも注目されています。
DHEAの働きは、生活習慣病の予防に大きな影響がある事は先に述べましたが、生活習慣病を予防する事が老化促進を防止する事にもつながるといわれています。
調査機関の報告によると、日本人男性で、DHEAが多い人ほど長寿であるとう報告があります。
DHEAの働きが、老化防止、つまり若さを保つ事に貢献するため、その結果として長寿にもつながっていると思われていますが、DHEAが必ずしも寿命を延ばすという根拠ではありませんので注意する必要があります。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の分泌を増やす方法
若返りホルモン、長寿ホルモンなどと呼ばれているデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)について、その分泌を増やすにはどのような方法があるのでしょうか?
一般的に言われているのが、運動で、運動をする事がDHEAを増やすのに効果があるといわれています。
運動の中でも、特に下半身、足腰の筋肉を活用する負荷のかかる運動がDHEAを増加させるのに効果的とされています。
ウォーキングの場合は、あまり負荷がかからないため、ランニングなどを軽い筋トレと交えて行う運動の方が効果が期待できると思います。
運動以外の方法で、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の分泌を増やす方法としては、ヤムイモを食事で摂取する事が効果的だといわれています。
ヤムイモとは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属のイモを食用にする植物のことで、自然薯や長芋などはヤムイモの一種です。
これまでの研究では、自然薯にDHEAが含まれていることが報告されています。
自然薯には抗酸化成分であるビタミンCが15㎎、ビタミンEが4.1㎎、亜鉛が0.7㎎(可食部100gあたり)含まれています。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)のサプリメントに関しては日本国内では購入できないため、ヤムイモなどの食品から摂取する事で分泌を増やすのが効果的でしょう。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の化学式
デヒドロエピアンドロステロンの化学式は「C19H28O2」で表されます。