「髪の毛はどうやって生えているの?」「毛根と毛包って何が違う?」「なぜ毎日髪が抜けるの?」と疑問に感じたことがある方も多いと思います。
薄毛やAGAについて調べると、毛根、毛包、毛母細胞、毛周期といった言葉がよく出てきます。ただ、これらの仕組みを理解しないまま「抜け毛が増えた」「髪が細くなった」と考えると、不安が大きくなりやすいです。
髪の毛は、ずっと同じ1本が伸び続けているわけではありません。一定期間成長したあと自然に抜け、再び新しい髪が生えるサイクルを繰り返しています。
この記事では、毛髪診断士の禿吉が、髪の毛の構造、毛根・毛包・毛乳頭・毛母細胞の役割、毛周期、自然な抜け毛、AGAで何が起きるのかまでわかりやすく解説します。
この記事について
この記事は毛髪診断士の禿吉が執筆・編集しています。毛髪診断士は医師ではないため、脱毛症の診断や治療は行えません。急激な脱毛や頭皮の異常がある場合は、皮膚科などの医療機関へご相談ください。
髪の毛はどんな構造になっている?
普段「髪の毛」と呼んでいる部分は、実は皮膚の外に出ている部分だけではありません。髪は大きく分けると、皮膚の外に出ている部分と、皮膚の中にある部分に分かれます。
| 名称 | 位置・役割 |
|---|---|
| 毛幹 | 頭皮の外に出ている、普段見えている髪の部分 |
| 毛根 | 皮膚の中にある髪の部分 |
| 毛包 | 毛根を包む袋状の組織 |
| 毛乳頭 | 毛球の底部にあり、毛髪の成長に関わる組織 |
| 毛母細胞 | 分裂・角化しながら髪の形成に関わる細胞 |
つまり、私たちが普段見ている「髪」は髪全体の一部であり、実際の成長には頭皮の中にある毛包や毛母細胞などが関係しています。
毛幹とは?
毛幹は、頭皮から外に出ている、私たちが普段「髪」として見ている部分です。毛幹そのものは角化した細胞でできているため、髪を切っても痛みを感じません。
このため、髪を切れば毛根が刺激されて太くなる、毛先を切ると髪の成長が速くなるというわけではありません。
髪を短くすると断面がそろうため太く見える場合はありますが、毛包で作られる髪そのものが太くなったわけではありません。
毛根とは?
毛根は、皮膚の中にある髪の部分です。一般的には「毛根」という言葉がよく使われますが、実際にはその周囲にある毛包や、根元にある毛球など複数の組織が関係しています。
髪が作られる中心は頭皮の表面ではなく、この皮膚の中にあります。そのため、頭皮を刺激したりマッサージしたりするだけで、毛根や毛包そのものを自由に変えられるわけではありません。
毛包とは?
毛包は、毛根を包んでいる袋状の組織です。髪はこの毛包の中で作られ、成長しながら頭皮の外へ伸びていきます。
毛包の奥には毛乳頭や毛母細胞などがあり、髪の成長に関わっています。
AGAでは、毛包が徐々に小さくなり、そこから生える髪が細く短くなる「毛包のミニチュア化」が重要な変化の一つです。
毛乳頭とは?
毛乳頭は、毛球の底部にある組織で、毛細血管から酸素や栄養などを受け取り、周囲の毛母細胞と関わりながら毛髪の成長に関与します。
「毛乳頭へ栄養を送れば髪が生える」と単純に説明されることがありますが、髪の成長にはホルモン、遺伝、毛周期、年齢、身体状態などさまざまな要素が関係しています。
血流だけで薄毛の原因すべてを説明することはできません。
毛母細胞とは?
毛母細胞は毛球の中にある細胞で、分裂しながら角化していくことで髪の形成に関わります。髪の成長期には毛母細胞の活動が活発になり、髪は伸びていきます。
一方、毛周期が退行期へ入ると活動が低下し、やがて髪の成長は止まります。つまり、髪が伸びる背景には、毛母細胞の活動と毛周期が深く関係しています。
髪の毛には「毛周期」がある
髪は永遠に伸び続けるわけではなく、1本1本に毛周期(ヘアサイクル)があります。
一般的には、
成長期 → 退行期 → 休止期 → 脱毛 → 次の髪の成長
という流れを繰り返しています。このサイクルがあるため、健康な状態でも髪は毎日少しずつ自然に抜けます。
成長期とは?
成長期は、髪が積極的に成長する時期です。毛母細胞の活動が活発になり、髪は長く太く成長していきます。
頭髪の多くは通常この成長期にあり、成長期が十分に保たれることで、髪は一定の長さや太さまで育ちます。
退行期とは?
退行期は、髪の成長が止まり始める移行期間です。毛母細胞の活動が低下し、毛球も縮小していきます。
成長期から休止期へ移るための準備期間と考えるとわかりやすいでしょう。
休止期とは?
休止期は、髪の成長が止まっている時期です。その後、古い髪は自然に抜け、新しい髪の成長へ移行していきます。
そのため、髪が抜けること自体は異常ではありません。正常な毛周期の一部として自然に起きている脱毛もあります。
毎日髪が抜けるのは普通?
はい。髪は毛周期を繰り返しているため、日常的に一定数の髪が自然に抜けます。
ただし、「何本抜けたらAGA」というように、本数だけで薄毛を判断することはできません。洗髪の頻度、髪の長さ、季節、生活状況などによっても、目にする抜け毛の量は変わります。
本数以上に確認したいのは、髪の質や見た目の変化です。
- 細く短い髪が増えていないか
- 生え際が徐々に後退していないか
- 頭頂部の地肌が以前より見えるようになっていないか
- 数か月から数年かけて変化が続いていないか
AGAでは毛周期に何が起きる?
AGAでは、毛周期のうち成長期が短くなることが重要な変化の一つです。
AGAに関係するDHT(ジヒドロテストステロン)が、感受性のある毛包へ作用すると、髪が十分に成長する前に成長期を終えやすくなります。
十分に太く長くなる前に成長が止まる
↓
細く短い髪が増える
↓
毛包のミニチュア化が進む
↓
徐々に地肌が目立つようになる
つまり、AGAでは突然すべての髪が抜けるというより、1本1本の髪が徐々に細く短くなっていくことが特徴です。
DHTはどうやって作られる?
AGAの仕組みを理解するときに重要なのがDHTです。男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素によってDHTへ変換されます。
このDHTが感受性のある毛包へ作用することで、AGAの進行に関わります。ただし、DHTが存在する人は全員AGAになるという意味ではありません。
AGAにはDHTへの感受性や遺伝的な要因なども関係しています。
髪が細くなったら毛根が死んでいる?
髪が細くなったからといって、すぐに「毛根が死んだ」と考える必要はありません。
AGAでは毛包のミニチュア化によって、そこから生える髪が細く短くなっていきます。この段階では毛包が存在しており、医療機関ではAGAの進行を抑える治療や発毛を促す治療が検討される場合があります。
一方、薄毛が長期間進行している場合には、治療による変化が得にくくなるケースもあります。生え際や頭頂部の変化が気になる場合は、かなり進行してからではなく、原因を確認するという考え方もあります。
頭皮マッサージをすれば髪は生える?
頭皮マッサージをリラックスや頭皮ケアの一環として行うこと自体を否定する必要はありません。
ただし、頭皮マッサージだけでAGAを治療できる、血流を良くすればAGAが治るとはいえません。
AGAはDHTや毛包の感受性などが関係する脱毛症です。AGAが原因の場合には、頭皮ケアだけではなく医学的な治療が検討されます。
シャンプーを変えれば髪は生える?
シャンプーには、頭皮や髪の汚れを落とし、清潔を保つ役割があります。自分の頭皮状態に合ったシャンプーを使うことは大切ですが、シャンプーそのものがAGAを治療するわけではありません。
「育毛シャンプー」と呼ばれる商品もありますが、医薬品としてAGAへ作用する治療薬とは役割が異なります。
シャンプー:頭皮や毛髪を清潔に保つ
AGA治療薬:AGAの進行抑制や発毛促進を目的として使用される
髪を剃ると太くなる?
髪を剃ったからといって、毛包で作られる髪そのものが太くなるわけではありません。
剃った直後は髪の断面が太く見えるため、「以前より太くなった」と感じる場合がありますが、これは見た目の変化です。
髪の太さには、毛包の状態、遺伝、ホルモン、年齢などさまざまな要因が関係します。
抜けた髪の根元が白いのは異常?
抜けた髪の根元に白っぽい部分が見えると、「毛根まで抜けてしまったから、もう髪が生えないのでは?」と不安になる人もいます。
しかし、抜けた髪の根元に白い部分があるだけで、毛包そのものが頭皮から失われたと判断することはできません。
通常の毛周期による脱毛では、髪が抜けたあとも毛包は皮膚の中に残り、次の髪の成長へ移行します。
髪に良い食べ物を食べれば髪は増える?
髪を作るためには、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養が必要です。そのため、極端な食事制限や栄養不足が毛髪の状態に影響する場合はあります。
ただし、特定の食品を食べればAGAが治る、特定の食材だけで発毛するというものではありません。AGAは食事だけで説明できる脱毛症ではないからです。
髪の仕組みを理解するとAGAがわかりやすくなる
AGAについて調べると、フィナステリド、ミノキシジル、DHTなど薬やホルモンの話が先に出てきます。しかし、その前に髪がどのように作られ、どのように抜けるのかを知っておくと、AGAの仕組みが理解しやすくなります。
正常な毛髪では、成長期・退行期・休止期という毛周期が繰り返されます。一方、AGAでは成長期が短くなり、十分に太く長く育つ前に成長を終える髪が増えていきます。
AGA治療では、AGAで短くなった成長期や毛包のミニチュア化に対して、進行を抑える治療や発毛を促す治療が検討されます。
薄毛が気になったら「抜け毛の本数」より変化を見る
薄毛が気になり始めると、毎日の抜け毛を数えたくなる人もいます。しかし、抜け毛の本数だけではAGAかどうかを判断できません。
むしろ確認したいのは、生え際の後退、頭頂部の透け、髪の細さ、短い髪の増加、ボリュームの低下など、時間とともに続く変化です。
- 生え際が以前より後退した
- 頭頂部の地肌が見えやすくなった
- 髪が以前より細くなった
- 短い髪が増えた
- 同じ髪型でもボリュームが出にくくなった
気になる場合は、同じ場所・照明・角度で定期的に写真を撮っておくと、変化を比較しやすくなります。
こんな抜け方は医療機関へ相談を
AGAは一般的に徐々に進行することが多い脱毛症ですが、抜け方によってはAGA以外の原因も考えられます。
- 急激に大量の髪が抜けた
- 円形・斑状に抜けた
- 頭皮に強い赤みや痛みがある
- 強いかゆみや炎症がある
- 眉毛や体毛にも脱毛がある
このような場合は、自己判断でAGA治療薬を使用するのではなく、皮膚科などの医療機関へ相談してください。
髪の毛の仕組みについてよくある質問
毛根が抜けたら二度と髪は生えませんか?
抜けた髪の根元に見える部分だけで、毛包そのものが失われたとは判断できません。通常の毛周期による脱毛では、毛包は頭皮内に残り、次の髪の成長へ移行します。
髪を切ると伸びるのが早くなりますか?
髪を切っても、毛包での成長速度が速くなるわけではありません。毛先を切ることで見た目が整うことはありますが、髪の成長速度とは別です。
毛穴から複数の髪が生えるのは普通ですか?
頭皮では、複数の毛包がまとまって見える場合があります。見た目だけで異常とは判断できません。
抜け毛が増えたらAGAですか?
抜け毛が増える原因はAGAだけではありません。抜け毛の本数だけではなく、髪の細さ、生え際、頭頂部などの変化も確認することが大切です。
頭皮が硬いとハゲますか?
頭皮の硬さだけでAGAになるとはいえません。AGAにはDHTや遺伝的要因、毛包の感受性などが関係しています。
毛根を刺激すれば発毛しますか?
毛根への刺激だけでAGAによる薄毛が改善するとはいえません。AGAが疑われる場合は、医学的な治療も含めて医師へ相談してください。
まとめ|髪は毛周期を繰り返しながら生え変わっている
髪の毛は、頭皮から見えている毛幹だけでできているわけではありません。皮膚の中には毛根や毛包があり、その奥にある毛母細胞や毛乳頭などが髪の成長に関係しています。
成長期 → 退行期 → 休止期 → 脱毛 → 新しい髪の成長
髪はこの毛周期を繰り返しているため、毎日髪が抜けること自体は自然な現象です。
一方、AGAでは成長期が短くなり、髪が十分に太く長く成長する前に次の段階へ移行することで、細く短い髪が増えていきます。
大切なのは、「抜け毛がある=異常」と考えるのではなく、髪の太さ、生え際、頭頂部などが時間とともにどう変化しているかを見ることです。
もし生え際の後退や頭頂部の薄毛などが徐々に進んでいる場合は、AGAの可能性もあります。
参考情報
※頭皮や脱毛の状態には個人差があります。急激な脱毛、円形・斑状の脱毛、強い炎症などがある場合は、自己判断せず医療機関へご相談ください。



